CULTURE

2026.4.20

ミナペルホネンとヨウジヤマモト

私は、ミナペルホネンというブランドが好きなのだけれど、最近は着用頻度が落ちている。
この話は、アート&デザインにおける、無意識と身体性との関係があるものだと思うから、丁寧に備忘録をつけたい。

ミナペルホネンは、フィンランドの自然から着想されたテキスタイルが有名で、代表の皆川明さんの書籍はそのほとんどを拝読した。

特にブランド30周年のCASAは雑誌としてのクオリティが高くて、「とても素敵なおじ様、最高だ!」という印象を持った。
(勝手に)編集部の方への拍手を込めて、保存用にもう1冊買おうか迷っているくらいだ。

ブランドイメージとしては、かなり対照的な印象の、ヨウジヤマモト。
周囲に愛用者が多いことから、かねてより気になっていた。

久しぶりに連絡を取った高校の同級生が、ヨウジヤマモトの店長をしていると聞いて、どんなブランドか改めて知りたくなったことが、興味が再燃するきっかけになった。

ちなみに、山本さんはフィンランドが好きではないらしい。
書籍の中で、「その地に降りた瞬間、何もない、特徴のない街だと思った」と語っている。
確かに、人生の多くをパリで育てられた山本さんがそう感じるのは、至極自然なことなのかもしれないと思った。

それに関しては、私がパリとヘルシンキを体験した後に、分かっていく感覚なのだろう。

ヨウジヤマモトに関しては、最近お店に行って、接客を受けてみた。
これが、とてもとても、印象が良かった。
対応してくださったのは、おそらくアルバイトのお兄さんだったのだけど、服への知識が感じられる対応と、似合うものを提案してくれる力が高かった。
思えば、文化服装学院などの服飾関係の学生さんなのかもしれない。

細かいことは省くけれど、私は次のシーズンでは、きっと(必ず)ヨウジヤマモトを着ることになる。
強めの印象を持ったワンピースに、出会ってしまったもので。

これの空気感と、身体への吸い付きが、「身体って結構自由なんだ」と思わせてくれた。
この日、私がヨウジヤマモトを好きになった最大の理由は、「働き、戦う女性のための服」を作ってくれているところ。

これはある意味、働いている時の、無意識の私らしさを物語ってくれているようで。
身体的にも精神的にも安心させられる。
その機能は、今の私にとって必要な栄養素だから。

対照的に、ミナペルホネンは、アート作品としての服だと思う。
そして、製造工程も含めた世界観のデザインが徹底されている。

まず、刺繍はミリ単位で国内の縫製工場が手作業で担ってくださっているようだし、その繊細なテキスタイルは北欧の自然由来。
これがとても爽やかで、素晴らしくて。
私はそういう繊細さと職人気質なお仕事風景を気に入っていた。

けれども、これはあくまで「アート」としての服。
女性に対して、幻想に近い存在をイメージしている気すら、する。

まず、一度洗濯をするだけで、布全体がくっしゃくしゃになる。笑
それに伴い、アイロンがけが異常に大変。
たまたま親友もミナペルホネンの長年の愛用者なのだけれど、毎回のアイロンがけを理由に「あり得ないほどのくしゃくしゃ具合に、着れなくなった」と言っていた。

この素材では、服を通して、「働く自分としての自由」を無意識が得ることは、とても難しい。
ヨウジヤマモトと同様に、服の曲線が身体に馴染むところはいいのだけれど、形状の再現性が低い素材であることが、ミナペルホネンを仕事着に選ぶことへの制約となっている。

世界観を表現する素材と、背景の製造工程のクリーンさに惹かれるから、「アート&デザイン」枠として選ぶことはあるかもしれないが。
私たちの生きている世界には、いろいろな側面があるから、私はまだ選びどころが見つかっていない。

そういう理由から、自分の制服が決まっていくのは、もう少し先のことになりそうだ。

Natsumi Goto

デザイナー/アーティスト

自然や日常の中にある「感性の動き」をテーマに、アート制作やデザインコンサルティングを行う。

感性を起点に、個人やブランドの「まだ言語化されていない魅力」を引き出し、コンセプト設計や表現へと落とし込むことを得意とする。

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